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シュールレアリズムについて(2) [アート]

今日は、シュールレアリズムの絵画についてお話します。

一般に、シュールレアリズムの絵画には大きく分けて2つのスタイルがあります。

一つは、絵の具を滴らせたり、垂らした絵の具を紙にこすり付けてはがした模様を利用する、あるいは自動筆記やデペイズマン、コラージュなどを使い、偶然を重視するものです。
私の作品の中にもそうした技法を使ったものがたくさんあります。
これは、自意識がはいらない状況をあえて作り、そこで絵を描くことで、無意識の世界を表現しようとした画家たちの手法です。
主観や理性や意識が介在できない状態で、偶然出来たものや、そもそも意識の介在から解き放たれた夢の中からこそ、普段気付かれない現実=超現実が出現すると考えました。
マックス・エルンスト、ジョアン・ミロがその代表的な画家です。
彼らの絵画は具象的な形態がなくさまざまな記号的イメージにあふれ、その後の抽象画に大きな影響を与えることになりました。

下はミロの作品です。
     joan_miro.jpg
     ジョアン・ミロ『ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子』


シュールレアリズムのもう一つスタイルは、サルバドール・ダリのように、リアルな描写で現実にはありえない光景を描こうというものです。
そこでは夢や無意識下でしか起こりえない奇妙な世界が描かれました。
同様の作家にはルネ・マグリットやデルヴォーなどがいます。

        magritt24.jpg
         ルネ・マグリット 『白紙委任状』

彼らの絵の中に出てくる人物や風景はあくまで具象的です。
こうした絵は、普段絵画に全く興味の無い人でも楽しめると思います。

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シュールレアリスムでは、人間が理解している「現実」というものは、実は、単なる一面的な現実であるのだと考えました。
そして、芸術における創造性とは、精神分析の創始者ジークムント・フロイトがいう無意識のなかに宿っているのではないかと考えたのです。
人が芸術の美に感動するのは、実は、無意識が美を感じて、意味を理解するものではないかと考えたのです。
そこで、シュールレアリストたちは無意識による美の創造を考えました。
そのための手段として自動筆記などの技法を使い、無意識の流れに任せて作品を創作していくと思いがけない美が生み出されると考えたのです。

   250px-Sigmund_Freud_LIFE.jpg   
これが、有名なフロイトです。

このようにシュールレアリストたちは、フロイトが主張する「無意識」が、より真実の美や人間や社会についての「真実」を表現するのに有用であると考え、「無意識」を利用した芸術運動を展開したのです。
                                        つづく
          
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